28.少年院に来たおばあちゃん
罪を憎んで人を憎まず、心霊相談。
浄霊師の泣き記録。210301
◆
A君は、ちょっと見た目は派手だけど、けっこう田舎暮らし
の合いそうな青年だ。おどおどと心霊相談室に入って来た。
「僕、(オレオレ詐欺)でとっつかまっていました」
(ええっ!)僕は内心の驚きを隠して話を先へとうながす。
"浄霊師に心霊相談"、で良いの?と思いながら。
「でも、出て来たんです」
(ほっ、と僕は胸をなでおろす。法律的な償いは済んだらしい)
「僕、留置場で(ム所で、ではないらしい)おばあちゃんの夢を
見ました」
「ほう、ほう、、。(A君にもおばあちゃんがいたのだな)」
「死んでいるから(霊)と呼ぶべきですよね。哀しそうな顔して
立っていたんです」
「そうだろうなあ。孫が警察に捕まっていて喜ぶ身内はいな
いからね」僕はうなづいた。
「その時、僕、突然、涙がこぼれて仕方なかった、、」
「うん、わかるような気がするなあ、、」浄霊師、神島もぐっ、と
来た。
「僕は少年院にいたことがあるんです。僕の両親は僕が小さい
時に僕を捨ててどっかに行ってしまった。その僕を育ててくれ
たのはおばあちゃんなんです」
「なるほど、、」浄霊師にもやっと(おばあちゃん現る)意味が理解
出来た。
「少年院に何度もおばあちゃんは見舞いに来てくれた。僕は
ろくすっぽ面会に出なかった」
「なんて事を、、」
浄霊師には、とぼとぼ帰るおばあさんの姿がまぶたに浮かんだ。
「それで、僕が少年院を退院した時にはおばあちゃんは死んでた」
「ほう、、、」
「それきり僕はおばあちゃんとは縁が無い、というか。葬式には
もちろん出ていないし、墓参りもした事ないんです」
「なるほど、、」浄霊師、神島はため息をついた。
「そのおばあちゃんが留置場に出たんです。僕は泣きながら
おばあちゃんにしがみついた、、その時、僕ははっ、と思った
のです。僕は、おばあちゃんのような人たちをずっ、と騙して
来たんだ、って」
「うーん。おばあさんの霊は、、」
「そうなんです。哀しそうにして、僕を叱ったのです」
「うん」
「神島先生。神島先生はお坊さんの名前も持っていますよね」
「そうだよ」
「おばあちゃんは僕のせいで成仏していないのかも知れない、と
気がついたんです。どうか、お祓いしてください」
A君の言葉づかいはもっと荒々しかったし、少しわけがわから
ない点があったが、それに除霊、浄霊、お祓いの区別もついて
いないようだったが、その気持は理解できた。
僕は心から、寂しく死んでいったおばあさんの霊に読経させて
貰った。A君はそれきり心霊相談室に来ていない。
| コメント (0) | トラックバック (0)

